2013年7月29日月曜日

夏草と山形の街




















今年は東北がなかなか梅雨が明けない。
豪雨で貯水池の浄水機能が追いつかず、断水が続いているらしい。
そんな梅雨の晴れ間のワンシーン。

朝、宿舎から大学までの道からは盆地の山形市街地を一望できる場所がある。
この街が山々に囲まれた底にできた都市であることがよくわかる。

九州の海辺育ちの僕にとって、360°どこを見ても山、という風景は見慣れず、ちょっと不安だった。
しかし今は、この囲まれた感じになにか安心感を感じる。

蝉の声が激しくなってきた、雨の間を縫って必死で鳴いているようだ。

2013年7月11日木曜日

30万円リノベーション、進行中。

今、山形R不動産では「30万円リノベーション/バリューアップ原状回復」というプロジェクトを進めている。
街に溢れる木造や軽量鉄骨のアパート。多くは学生用などにつくられた特徴のない住居。山形の場合も、他の地方都市と同じように空きが目立っている。それを普通に原状回復しても魅力もないし、おもしろくもない。そもそも、芸工大の学生たる者、普通の空間で満足していいわけがない。そこで制作もすれば、図面も描く。
魅力のない空間からは、おもしろい作品は生まれない。
環境は、そこで過ごす人間のクリエイティビティに大きな影響を与える、と思う。
だとするならば、原状回復の予算に少しプラスオンして、魅力的で楽しい空間をつくろうじゃないか、というのがこのプロジェクト。今まで3部屋つくり、どれも人気を博している。あっという間に埋まってしまう。

例えば、床壁がすべてラーチの構造用合板になっていて、居住者はそこにクギを打っても、ペンキを塗ってもいい。自由の壁と床で覆われた空間。既存の部屋を木で覆っただけの空間だけど、その風景や機能性は大きく変わる。
たったそれだけだ。
それだけのリノベーションで、空間はぐっと自由になる。
しかも投資は30万円。

山形R不動産では、小さな投資で、新しい空間をつくる実験を続ける。
図面も現場監理も、大学生がやってます。
実務を通じて、いろいろ学んでもらうのが、馬場ゼミの基本スタンス。詳しくは、下記の連載にて。

http://www.realyamagataestate.jp/project/




2013年7月4日木曜日

白竜湖を新幹線から眺める。





















好きな風景がある。
山形新幹線で福島から峠を超え、米沢を抜けて山形が近づいてくる、ちょっと前。
赤湯と呼ばれる温泉のある街の風景。
トンネルを抜けると・・・という、常套句がぴったりのタイミングで、その盆地が目に前に現れる。その真ん中に湖があって、なんとも言えない神秘性をたたえている。
最初に見た時から、僕はその風景がとくに湖が気になって仕方がない。
眠っている時も、この風景が近づくと目を覚まし、一目見てまた眠りに落ちる。
なぜかそんな行動をとっている。

地図で調べて見た。
白竜湖。
この湖に神秘性を感じていたのは僕だけではないようだ。
確かに、白い竜が主のように住んでいてもおかしくない。
湖のまわりは、おそらく湿地だろう。緑が深い。
新幹線を降りて近づきたい。

ここに通っていると、いつのまにかに風景への感性が強くなるような気がしている。

2013年7月3日水曜日

馬場ゼミとは?

毎週、僕は都会の雑踏を離れて山形に行く。
東北芸術工科大学で教え始めて5年が経った。
九州育ちの僕にとって東北は遠い存在で、まさま自分が通うようになるとは思いもしなかった。
大学では設計演習や建築の現代史、リノベーションの方法などを教えている。「馬場ゼミ」と呼ばれる研究室を持っていて、毎年5人くらいの学生が入ってくる。大学院生も含めると15人前後の所帯。息子と同じくらいの年齢の学生たちだ。

馬場ゼミの特徴は実務、すなわち実際の仕事を、企業などと一緒に行うことだ。学生の時から社会のダイナミズム(いいとこも、悪いとこも)を感じて欲しいと思っている。この山形R不動産もその一つ。研究室の根幹となるプロジェクトだ。始めてから4年近くになろうとしている。

この「晴れときどき、馬場ゼミ日記」では、研究室で行うプロジェクトや新しい試みについて、ときどき書いていこうと思う。
山形の地で、何を見て、何を思い、どのように動こうとしているのか。
それは地方都市における建築の可能性を探求する日々である。